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直下型大地震の研究成果が『Nature Communications』に掲載


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小さな地震がカギになる直下型大地震の研究~本学教員の成果が『Nature Communications』に掲載~

日本だけではなく、世界の地震国で起きる直下型の大規模地震は、その地域の社会生活に大きな影響を与えるので、直下型地震を研究する事は重要です。本学グローバル地域センター地震予知部門総括の楠城一嘉特任准教授は、昨年7月にカリフォルニアで起きた直下型地震を事例として、小さな地震が大地震の断層にかかる力の推定に有効である事を発見しました。大地震の続発の可能性を評価する事に結びつく、地震防災に重要な研究です。詳細は下段の「本研究のポイント」を参照ください。

本研究の成果は、Nature 関連誌の総合科学ジャーナル『Nature Communications』※1(2 Year Impact Factor: 11.878、5 Year Impact Factor: 13.811)に2020年6月17日(日本時間18:00)付けで掲載されました。

本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)と日本学術振興会による科研費(20K05050)の助成を受けたものです。

掲載された論文

K. Z. Nanjo (2020) Were changes in stress state responsible for the 2019 Ridgecrest, California, earthquakes?, Nature Communications, DOI: 10.1038/s41467-020-16867-5

○論文ページ
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16867-5(外部サイトへリンク)

本研究のポイント

  • 本研究では、小さな地震と大きな地震の発生数の割合を示す指標「b値」に着目しました。一般に地殻内に大きな力がかかっていると大きな地震の発生数が相対的に増え、b値が低くなる傾向が知られています。カリフォルニアの小さな地震が漏れなく高精度で検知されており、きめ細かい解析が可能であると見抜いた事で、本研究が可能となりました。
  • 1980年以降に起きた膨大な数の大小の地震活動を統計処理し、リッジクレスト地震の発生前に、震源付近のb値が低下していた事を発見しました(図1)。つまり、マグニチュード(M)6.4の地震とM7.1地震の両方の破壊開始点(震源)付近で地震発生前に力が高まり、耐えきれなくなって、地震が起きたというメカニズムが示唆されます。また、現在、断層の南端部だけb値が低下している事から、今後も推移を監視していく必要があります。
  • その断層南端に近くに、約300kmの長さを持つガーロック断層があり、地質学的調査で、大地震を起こしてきた形跡があると分かっています。もしb値の低下が見られる断層南端部で、地震活動が再活発化すれば、ガーロック断層へ影響を与える可能性があり、ガーロック断層で地震を誘発する可能性もあり得ます。リッジクレスト地震以降、ガーロック断層への影響が危惧されていましたが、本研究では科学的根拠に基づいてその可能性が指摘できた点で意義があると考えています。

図1

リッジクレスト地震とb値。(左図)南カリフォルニアは地震活動が比較的活発であり(灰色点)、リッジクレスト地震は約20年ぶりの大地震だった。現地時間の2019年7月4日にM6.4の地震が起きた(星印は地震の破壊開始点)。その後の約30時間の地震活動は非常に活発で、くの字様に分布した(青色点)。その活動の北西端で、M7.1の地震の破壊が開始した。M7.1の地震の後の12時間に起きた地震をプロットしたものが、赤色点である。これはおよそM7.1地震で破壊した領域を示しており、破壊域は約50kmの長さに達する。挿入図:研究領域を四角で示す(青線: 活断層、SB: サンタバーバラ、LA: ロスアンゼルス)。(右図)M6.4地震までに起きた地震を使って求めたb値の分布図。M6.4地震の破壊開始点付近でb値が小さい事がわかる。この結果から、地震発生前に力が高まり、耐えきれなくなって、地震が起きたというメカニズムが示唆される。同様に本研究では、M7.1地震の破壊開始点付近で力が強くかかっていた事を示す結果を得ている。

楠城特任准教授のコメント

  • 一般的に地震を確度高く予知する事は現状では困難と考えられており、本研究も地震予知ではありません。しかし、カリフォルニアの地域住民に、研究で明らかになった地域の特性を知ってもらい、防災対応の再確認を事前にしてもらうなどを促せる様に情報発信したいという国際貢献の動機が本論文の出版の背景にあります。
  • 近年、地震の監視観測網が充実して多くの微小地震を捉えられるようになり、よりきめ細かい解析ができるようになったと感じています。例えば、 ここで紹介する研究以外にも、南海トラフ巨大地震の想定震源域の固着領域を検出する事に成功したり※2、熊本地震を起こした布田川?日奈久断層帯に現在力のかかり具合が他の地域と違う地域がある事を見つけたりしています※3。これまで地震の危険度は過去の繰り返し間隔を基に評価するのが一般的でしたが、それ以外の方法で危険度の高まりの程度を評価し、注意喚起できるようにさらに研究を進める予定です。また、本研究を富士川河口断層帯や伊豆東部火山群、富士山の地下の監視などにも応用できる可能性があり、現在プロジェクトが進行中です。
  • 静岡県にも活断層帯はあり、例えば、上述の富士川河口断層帯は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに属しています。本記事をお読みの皆さまが防災意識を高め、いつ地震が起きても対応できる様に、改めて防災に対する対応を再点検するきっかけになればと思います。


※1 Nature Communications は、生物学、物理学、化学および地球科学のあらゆる領域における高品質な研究を出版するオープンアクセスジャーナルです。Nature Communicationsに掲載される論文は、各分野の専門家にとって非常に意義のある重要な進歩を示したものです。
https://www.natureasia.com/ja-jp/ncomms/(外部サイトへリンク)

※2 南海トラフ巨大地震に関する研究成果『Nature Communications』に掲載(2018年3月16日ニュース)

※3 2016年熊本地震後の日奈久断層帯を監視する手法を開発(2019年9月5日ニュース)



【関連リンク】
◎Nature Communications (英語)
https://www.nature.com/ncomms/(外部サイトへリンク)

◎Nature Communications (日本語)
https://www.natureasia.com/ja-jp/ncomms/(外部サイトへリンク)

◎静岡県立大学 グローバル地域センター
https://www.global-center.jp(外部サイトへリンク)



(2020年6月17日)

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